【マリオ64 RTA】70枚RTAの世界記録が更新され、『三大タイムの壁』が破られた件
2020年6月12日。70枚RTAにて、ついに『47分の壁』が破られた。
タイムは『46分59秒31』で、プレイヤーはDwhatever氏。
この世界記録更新により、2019年末に挙がっていた『三大タイムの壁』が、2020年前半までで破られる結果となった。
「マリオ64RTAのサイトがこの歴史的瞬間をまとめないわけがない」――ということで、今回は、壁を破るまでの歴史を簡単に振り返ることにしよう!
最初に壁を破ったのは『120枚RTA』
2019年8月。cheese氏が『初の1時間39分切り』を果たした。タイムは『1時間38分51秒』。
「2019年に1時間39分切ってるじゃん!」と思ったかもしれないが、この記録は、
- 途中で画面が数十秒フリーズしているために未確証の記録
- 後日改正されたコントローラ関連のルール(リマッピング問題)に反した記録
だったため、(speedrun.com上は正式に受理されていたのだが、)少しもやっとした記録として扱われていたのだ。
この記録の少し後にルールが改正され、以降は『1時間39分切り』を目にすることはなかったのだが……、迎えた2020年2月1日。
海外の120枚RTAの賞金イベント内で、またもやcheese氏が『新ルールでの1時間39分切り』を果たしてしまったのである!
タイムは『1時間38分54秒』。同氏は『イベントの賞金』と『120枚RTAの記録に懸かっていた賞金』で総額約135万円の全てを手にする運びとなった。
このことは記事にしたことがあるので、また読んでない方は読んでみてほしい。
かくして、『1時間39分切り』戦争は幕を閉じたのだが、この熱は冷めることなく、その後、2名のプレイヤーによって世界記録が二度も更新されている。
一度目の更新は、Liam氏が2020年4月1日に達成した『1時間38分43秒』。
二度目の更新は、Simply氏が2020年5月29日に達成した『1時間38分28秒』で、本日の段階で、次の壁と言われていた『1時間38分30秒切り』もすでに達成されている状況だ。
現在もなお、Simply氏は世界記録を狙い続けているので、もしかしたら2020年に『1時間38分切り』が見られるかもしれない。
次に壁を破ったのは『16枚RTA』
2019年5月10日に達成された世界記録(15分04秒40)以降、16枚RTAは「15分が切れそうなのに切れない!」という苦しい状態が続いていた。
しかし、本当にすごかったのは、このような状態の中でも、休憩をはさみつつも辛抱強く記録を狙い続けたことだ。
以下が世界記録の更新履歴になる。更新を休ませずに少しずつ刻んでいたことが分かるだろう。
- 2019年05月10日 15分04秒40 by アッキー氏
- 2019年11月17日 15分04秒27 by Drozdowsky氏
- 2020年02月27日 15分03秒76 by sl1pperynip氏
- 2020年03月26日 15分03秒20 by アッキー氏
- 2020年05月01日 15分00秒43 by アッキー氏
こんな刻みが続いていき、『15分04秒40』が達成されたちょうど1年後の、2020年5月10日。
アッキー氏が『初の15分切り』を果たしたのである。
タイムは『14分59秒33』。以下が記録動画になるが、同氏自身が作成した解説動画もあるので、興味のある方はこちらも視聴してみてほしい。
また、私が『15分切り達成』を記事にしたので、こちらを見れば、「15分切りが如何に大変だったのか」が素人目でも分かるのではないかと思う。
ということで『15分切り』戦争は終わったのだが、まだまだ更新できるみたいなので、今後も更新を期待したい。
最後に壁を破ったのは『70枚RTA』
70枚RTAの世界記録は、2018年1月にcheese氏が達成した『47分34秒』でしばらく停滞していた。
しかし、2018年末になり、Taggo氏がひとり孤独に70枚RTAの世界記録を狙い始め、2019年2月に『47分31秒』を達成。
続いて、2019年5月18日にpuncayshun氏が『47分23秒』を出し、『初の47分30秒切り』を果たした。
この後しばらくの間、Taggo氏の世界記録狙いやpuncayshun氏の記録から、「47分切りはかなり厳しいのでは」などと言われていたのだが……。
2019年9月頃から、本格的に70枚RTAに取り組み始めたDwhatever氏によって、
- 2019年9月10日 47分20秒 by Dwhatever氏
- 2019年9月23日 47分11秒 by Dwhatever氏
- 2019年9月24日 47分08秒 by Dwhatever氏
と、いきなり47分切り手前まで来てしまったのだ。
ここまで来ると『47分切り』が視野に入ってくるのだが、残念なことに、この記録以降は更新できない日々が続き、気づけば2020年に。
しかし、諦めずにやり続けたDwhatever氏は、2020年5月あたりから『47分切りペース』を連発するようになり、2020年6月12日、ついに『47分の壁』を破ったのである!
私がすごいと思ったのは、同氏の執念だ。
同氏は『47分08秒』を達成して以降、記録が更新できない日々が続いた中でも、できる限り継続して70枚RTAを通していた。
(RTAイベント・企画のために120枚RTAに取り組んだり、一瞬休んだ時期もあったが、半年以上はやり続けていたのではないだろうか。)
その結果、2020年5月頃から『47分切りペース』を連発するようになり、5月13日には47分04秒を、5月26日には47分02秒を達成。
6月以降は、ほぼ毎日『47分切りペース』で走っており、最終的に6月12日に『46分59秒31』を手にしたわけだ。
この『47分切り』への執念は本当にすごいものだったし、「継続によって安定性が1ランク上がる」というのを体現したのも、またすごいところだったと思っている。
以上から、70枚RTAの47分切りは、Dwhatever氏が頭ひとつ抜けた状態で終わりを迎えた。
Dwhatever氏の理論値タイムは45分台のようなので、今後も70枚RTAの世界記録は更新される可能性が高いだろう。
むすび
本記事は、以下の2019年まとめ記事(世界記録面)の続編として書いてみたのだが、いかがだっただろうか。
「各カテゴリごとに語り尽くせないほどの『戦いの歴史』がある」ということを実感してもらえたのなら良かったと思う。
2020年末までに、これら世界記録がどこまで伸びるのかを楽しみにしておこう。