【マリオ64 RTA】WDW100枚シクレを考察したら新ルート案ができた件 後編
本記事は以下の記事の続きである。
前編では、『みずびたシティー 100枚シークレットスター』(以下、100枚シクレ)の現行ルートを考察し以下3つの知見を得た。
(1) スタート付近の5枚コイン列は最後に取るのがベスト
(2) 最初の木箱は最初に取るのがべスト
(3) 現行ルートの弱点は『2匹目のアメンボ』
後編ではこの知見をもとに、新ルート案(以下)を考えた話をする。
新ルート案のいきさつ
現行ルート考察後、私はこんなことを思った。
――2匹目のアメンボ(以下)が毎回同じように倒せて、現行ルートと同じぐらいのタイムが出せるルートがあれば、最強なのでは?
この考えから、まずは『2匹目のアメンボをどう処理するか』を考えてみた。
そもそも『アメンボを倒さない』という発想もある
どう処理するかを考える前に、『アメンボを倒さない』という発想も考えてみた。
なぜこの発想を考えたか……、それは、アメンボを倒すのがアドリブになるからだ。
現行ルートの考察時に話したように、マリオが青コインスイッチまわりに来た時、アメンボは導線上にいたり、導線外にいたりする。
なので、アドリブで倒しに行かなければならないのだが、一般的に、アドリブでのアプローチは遅くなりやすい傾向にある。
だから、可能なら『アメンボを倒さない』という選択肢も悪くないと思ったのである。
で、実際に考察したのが以下。
- 代替できるコインの場所がどれも微妙。
- アメンボの位置(乱数)が悪かったとしてもコインコスト(1枚のコインを回収するのにかかる秒数)は悪くなかった。
『アドリブで倒しに行かないといけない』以外のデメリットはなさそうなので、「やっぱり2匹目のアメンボを回収するしかないな」という結論に行き着く。
新ルート案(前半)が完成するまでの考察
2匹目のアメンボを毎回同じように倒すためには、アメンボを必ず導線上で倒す必要があると思った。
これをどう実現するか悩んだところ、「普段とは逆側から青コインスイッチまわりに行けばよいのでは」という発想が出てくる。
この発想は、
- アメンボは、基本的に板の足場と青コインスイッチの間あたりにいる。
- であれば、逆側から青コインスイッチまわりに行けば、導線上で倒すことができるのではないか?
という考えから生まれた発想だ。
この発想に、現行ルートの考察から得られた知見2つ
- スタート付近の5枚コイン列は最後に取るのがベスト
- 最初の木箱は最初に取るのがべスト
を加えたところ、以下のような導線が誕生したのである。これが新ルート案の前半パートとなる。
この導線を見ると、『4つの木箱→10枚[!]箱』の移動が遅そうに感じるかもしれないが、実際はそんなことはない。
その理由は、現行ルート(4つの木箱→青コインスイッチ→10枚[!]箱)でも、結局はステージの端まで移動しなければならないからである。
青コインスイッチ後の導線を考える
先のセクションで『青コインスイッチまでの導線』を考えたので、それ以降の導線を考えてみよう。
一番上の足場まわりは「青コインスイッチ→登って8枚コイン円地帯へ!」と考えがちだが、坂側から登れることを忘れてはならない。
この点を考慮すると、以下2つの最速の導線が考えられる。
(赤線は『100枚スターのワンスタールートの導線』、青線は『坂側から登った場合の最速だと思われる導線』)
赤線の導線に関する情報を整理し、ロジックを組んでみると、8枚コイン円地帯から回収する導線(赤線)は遅くなりそうだということが分かる。
- 赤線の『5枚コイン列→エレベータ金網足場』の移動では、足場ぎりぎりで三段ダイブを出す必要があるので、RTAで使うには難易度が高い。
- なので、RTA向けで、且つ、赤線に近い導線を考えると『100枚シクレの現行ルートの導線』となる。
- 新ルート案は、前半パート終了時点で現行ルートよりも遅いと思われる。そのため、後半パートで同じ導線を使っても速くならない。
- ということは、新ルート案において、8枚コイン円地帯から回収する導線(赤線)は遅いのでは。
以上から、新ルート案の後半パートは青線を採用することになった。
今までの考察から新ルートの誕生!
今までの考察から得られたルートは以下となる。(前半が濃青、後半が薄青)
「こんなバカげたルートが速いわけないだろう」と思ったのだが……。
細かい話は全て割愛するが、色々改良したところ、最終的に『理想上は現行ルート並のタイムが出せるルート』が出来てしまったのである。
このルートは、現行ルートの弱点である『2匹目のアメンボ』を導線上で倒せるルートなので、理想上は現行ルートよりも良いルートなんじゃないかと思う。
ただ、実際にマリオ64プレイヤーに試してもらったところ、
- 青コインスイッチ周りが若干やりにくい
- 理想よりもタイムが遅くなる(74秒あたりが限界?)
- アプローチを改良できる余地が無さそう(いくつかアプローチを試した)
という3つの課題が出てきたため、残念ながら、現在は『改良待ち』の状態となっている。
むすび
今回は、新ルート案を考えた時の考察を2記事に渡って書いた。
個人的にお気に入りの考察なので、楽しんでもらえたのであれば、書いてよかったと思う。
新ルート案に興味の湧いた方は、この機に改良案などを考えてみてほしい。