【マリオ64 RTA】TTC moving redsを考察してみた 後編

考察チックタックロック

この記事は、前回の続きとなっている。

前回は、このスターにおける過去のアイデアを振り返り、以下の考えに至ったことを話した。

(1) moving redsの現行ルートの周期より、0.5周期ぐらい速い周期に乗ることは人間でもできそうだ。
(2) 仮に(1)が実現できたとしたら、stop reds最速よりも速いタイムが出せるかもしれない。
(3) (2)が叶わなかったとしても、(1)が実現できるだけで現行ルートより速くなるはずなので、ワンステージRTAなどで使えそうだ。

上記考えをもとにして新たなアイデアを作ったので、今回はその話をする。

新しいアイデア その1

仕掛けの周期の考察

私は最初に、

  • stop reds(仕掛け停止での赤コインスター)と同じ導線のmoving reds
  • RTAでできるぐらい安定する

の2つを実現する方法を考えた。この導線が一番速いと思ったからである。

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過去のアイデアから、すぐに赤コイン2枚目に向かったとしても、仕掛けが縦の状態であることは分かっている。

縦の状態から移動するのは、ワンスターレベルの動きが必要になるので、RTAを想定するならば、横の状態で移動するべきだろう。

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『仕掛けが横の状態の時に移動する方法』を考えたところ、単純解として、仕掛けが縦から横に変わるまで待つ方法が頭に浮かんだ。

具体的には『赤コイン1枚目を回収した後、下に降りて、仕掛けが横になるのを待つ』という方法になる。

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実際に作ってみた

実際に作ったのが以下の動画となる。

(1) 幅跳びを2回出した後、壁キックする。

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(2) 赤コイン1枚目を取った後、下に降りる。

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(3) 反転壁キックで1つ目の仕掛けに乗る。

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(4) もう1回反転壁キックを出して、一番上の仕掛けまで登る。

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(5) ヒップで一番上の足場に乗る。

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以降は、仕掛けのタイミングに合わせたアプローチを使った。

結果は15.00秒カメラ×

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私の評価: 没案

動画を見比べてみたところ、『新しいアイデア その1』は現行のmoving redsと同じ周期になっていた。

タイムを比較したのが以下となる。

  • 現行のmoving reds: 15.10秒
  • 新しいアイデア その1: 15.00秒
  • タイム差: 0.10秒

タイムだけ見ると良さそうに見えるのだが……。

以下3点のデメリットがあるのに対し、0.10秒しか速くならないので、私は没案と評価した。

  • 赤コイン6枚目(以下の画像)まわりの入力が難しい。
  • 周期の関係で、少しでも遅れると6枚目の赤コインが回収できなくなる。
  • 現行のmoving redsと比べ、アプローチの難易度が高い。

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新しいアイデア その2

『新しいアイデア その1』を通して気づいたこと

『新しいアイデア その1』を通して気づいたのは、『moving redsは仕掛けの周期に依存していること』だった。

「そんなの当たり前だろ!」と思ったかもしれないが、私が言いたかったのは「周期依存しているからこその考え方があるよ」という話だ。

分かりやすい例に、『バッタンキングのとりで 100枚赤コイン』がある。

このスターのルートは、導線だけで考えると以下が最速だと私は考えている。(赤線が前半、黄線が後半)

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しかし、人間がRTAでできるレベルの最速ルートは以下だ。灰色の坂の5枚列を最初に回収していることが分かるだろう。

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なぜ、導線が良くない後者のルートのほうが速いのか――その理由は『固定周期で動いているリフト(以下の画像)』が存在するからだ。

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両者のルートは、どちらとも同じ周期のリフトに乗っている。

つまり、リフト時点ではおなじタイムなので、リフトまでに5枚多く回収している後者のルートのほうが速いのである。

この話を抽象化したのが以下だ。

「周期に依存する場合、同じ周期に乗れるのであれば、その周期に乗るまでに数多くのことができれば速いタイムが出る。」

これを『新しいアイデア その1』に当てはめてみよう。

『新しいアイデア その1』と同じ周期に乗るまでに何ができる?

最速周期の仕掛けの状態と、『新しいアイデア その1』で挙げたルートの仕掛けの状態は以下となっている。

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これらの差は約90度だ。時間に換算すると1.8秒ほどになる。

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「この1.8秒内に、できる限り多くの赤コインを取れれば、タイム短縮できるのではないだろうか」、私はこう予想した。

『新しいアイデア その1』は、以下の赤コイン1枚だけを回収している。

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もう1枚赤コインを取るとしたら、どこを取るべきかを考えてみる。

導線から考えて、最後の赤コイン2枚は取ってもタイム短縮にはつながらないだろう。

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一番上の赤コインを最初に取りに行くのは、最速周期には間に合わないと思った。

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『新しいアイデア その1』の導線をもとにすると、右側の赤コインが候補から外れる。

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以上から、もう1枚多く赤コインを取るとしたら、真ん中の赤コイン(以下)しか候補がないことが分かる。

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この考察をもとに、真ん中の赤コインを最初に回収するルートを作ってみた。

実際に作ってみた

(1) 仕掛けに垂直になる形を作り、三段ジャンプ+壁キックする。

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(2) 真ん中の赤コインを回収して、右下の足場に着地する。

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以上から、『新しいアイデア その1』と同じ周期に乗れることが分かった。

ただ、この三段のやり方は少し難しかったので、別のやり方も考えてみた。

(1) 少し歩いてQJK+二段ジャンプダイブ復帰する。

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(2) 左の足場に乗った後、少し歩いてから反転壁キックする。

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以降は、以下の導線でルートを作成した。

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参考動画のタイムは13.16秒スタータッチ。以下のタイムを目安に考えると、stop redsと同じぐらいのタイムが出ていることが分かる。

  • その1のタイムは14.20秒スタータッチ
  • stop redsの人間最速が13.36秒スタータッチ

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予想通りの結果を得られ満足した私は、この後、最後のパートを修正したRTA向け案を2つ作ってみた。

RTA向け案を2つ作ってみた

■幅跳びを使う方法

13.36秒スタータッチ、14.40秒カメラ×。

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■二段ジャンプダイブを使う方法

13.60秒スタータッチ、14.53秒カメラ×。

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どちらも14.5秒前後カメラ×となった。

現行のmoving reds(15.10秒カメラ×)よりも、0.6秒ほど速くなることが分かった。

私の評価: 神案

案を考えた後、実際にNon-TASで『新しいアイデア その2』を試してみた。

試した感想も踏まえ、私は以下の点から神案と評価している。

  • 通せさえすれば、100%の確率で、現行のmoving redsより速いタイムが出せる。
  • 試した感じだと、上級者ならRTAでも使えるレベルだった。
  • タイム短縮狙いで使えるので、将来的に取り入れられる可能性が高い。

ちなみに、『新しいアイデア その2』の難所は、赤コイン5枚目の足場にうまく着地しないとけないところだと思う。(滑りアクションになると、うまく足場に乗れずに失敗してしまう)

むすび

今回は、2記事に渡ってmoving redsのアイデアの話をした。

細かいアプローチは深く考えていないので、まだ改善できる余地があるかもしれない。興味のある方はぜひ改善してみてほしい。