【マリオ64 RTA】70枚idealrunのTTC100枚てっぺんを解説 (3/3)
この記事は3部構成中の3枚目となる。
今回は以下の3パートを話す。
(7) 70~80枚目の[!]箱のパート
(8) 80~90枚目の[!]箱のパート
(9) 100枚スターからてっぺんスターまでのパート
(7) 70~80枚目の[!]箱のパート
このパートでは、120枚idealrunと同様に『マリオ近め視点で処理落ち軽減』を採用した。具体的には以下の視点となる。
(1) 反転を出すあたりでマリオ近め視点。
(2) 10枚コインを取るあたりでジュゲム視点に戻す。
この視点を使うと、4, 5ラグカウント(2フレーム)程度処理落ちを軽減できる。※コインの乱数で処理落ちが若干変わる。
本セクションの解説は以上となるが、人によっては「120枚idealrunと同じでしょ?」と思った人もいるかもしれないので、1点補足しておこう。
その補足とは、『70枚idealrunと120枚idealrunにおける反転ジャンプの着地位置が微妙に違う』という話だ。
以下が着地位置で、1枚目が70枚idealrun、2枚目が120枚idealrunとなる。
120枚idealrunでは、矢印足場の上に着地しているのが分かるだろう。これによって、早い段階で炎が白い煙に変わるのだ。
(矢印足場に着地していない70枚idealrunでは、炎がずっと残りっぱなしになっている。)
120枚idealrun作成当時は、適当にノンタスで調べた上で「矢印足場の上に着地して炎を消さないと処理落ちを軽減できない」という結論になったのでこうしたのだが、実際のところはよく分かっていなかった。
で、今回も特に調べずにとりあえず採用してみたところ、
- 120枚idealrun: 44 → 54 (+10)
- 70枚idealrun: 44 → 55 (+11)
という結果になり、ほぼ差が無いことが分かったわけである。
コインの乱数で処理落ちが若干変わるので、『矢印足場の上のほうが良いかどうか』は分からないのだが、少なくとも『ジュゲム視点のままよりマリオ近め視点のほうが良い』というのは正しそうなので、余裕のある方は採用してみてはいかがだろうか。
(8) 80~90枚目の[!]箱のパート
このパートでは2つ話したいことがある。
処理落ち軽減のためにR2回を採用してみたが……
120枚idealrunでも採用していたのだが、今回も下へ降りるところでRボタンを2回押してみた。
これをやることで、若干下から見るような視点になるため、10枚[!]箱まわりで処理落ちが軽減できると思ったからだ。
下へ降りてから三段を出すまでのラグフレームカウンターの値は以下となる。
- 120枚idealrun: 54 → 72 (+18)
- 70枚idealrun: 55 → 72 (+17)
実際に試してみたところ、何も視点を変えないやり方でも+18前後だったので、コインの乱数による処理落ち差しか差になっていないことが分かった。
よくよく見てみると、降りる時にR2回を押しても、10枚[!]箱に到着した段階ではほぼ同じ視点になるので、この結果は納得だ。
以上から、現状はR2回はやる必要はないと思っている。
星エフェクトを出さずに[!]箱を壊す
70枚idealrunでは、『星エフェクトを出さずに[!]箱を壊す』という最適化を採用してみた。
この最適化は、[!]箱を早く壊せる上、[!]箱を壊した時の反動をほとんど受けないという特徴がある。
ただ、本当に星エフェクト有りよりも速いかには自信が無かったので、後日、タイムを調査してみた。
120枚idealrunと70枚idealrunの各動きのタイムは以下となっている。(ゲーム内タイマーのタイム)
- 上足場の二段を出したタイム → キックを出したタイム → 二段を出したタイム
- 120枚idealrun: 38.73 → 39.86 → 40.50
- 70枚idealrun: 35.50 → 36.63 → 37.10
最初の『上足場の二段を出す~キックを出す』の区間はどちらも1.13秒なので、ここの区間は無視して良いだろう。
以降の区間のタイム差は以下となっている。
- 120枚idealrun: 40.50 – 39.86 = 0.63秒
- 70枚idealrun: 37.10 – 36.63 = 0.46秒
上記より、70枚idealrunのやり方のほうが0.16秒速いことが分かる。
しかしここで1点疑問が湧いた。「120枚TASでは星エフェクト有りなので、実は遅いのではないか」という疑問である。
120枚TASでは、ご覧の通り、星エフェクトを出して[!]箱を壊している。(画像は120枚TASの動画から)
120枚TASが100%正解なわけではないと思うが、やっぱり気になるので、120枚TASのタイムも調べてみた。(上足場のアプローチが違うため、キックを出したタイムから比較)
- キックを出したタイム → 二段を出したタイム
- 70枚idealrun: 36.63 → 37.10 (+0.46)
- 120枚TAS: 00.00 → 0.50 (+0.50)
結果は1フレーム差で70枚idealrunのほうが速いが、ほぼ誤差と言っても良いだろう。
「やっぱり速くならないんじゃ」と思ったが、120枚TASを再度確認すると、ひとつのポイントに気づく。それは、「上足場のアプローチのせいで飛距離が出せないのではないか?」という点である。
120枚TASでは、反転二段ジャンプの勢いでコインを回収しているため、足場に引っかからないギリギリで下へ降りていた。
なので、[!]箱までの距離もギリギリになっているように見える。だから、そもそも星エフェクト有りでしか[!]箱を壊せないのではないだろうか。
……この真偽はともかくとして、上足場のアプローチが大きく違うので、120枚TASと比較するのはあまり意味が無さそうだと思った。
で、〆として上位プレイヤーの動画を確認してみたところ、星エフェクト有りで0.6秒ほど(キック~二段目)だったので、やっぱり0.1秒程度は短縮できると思う。
ワンスターRTAレベルまでタイムを詰めたい方は、採用してみても良いかもしれない。
(9) 100枚スターからてっぺんスターまでのパート
このパートでは、最近流行り(?)の三段壁キックアプローチを採用してみた。
このアプローチは、以下の120枚idealrun(QJK→幅跳び→棒を最速壁キック)比べ0.13秒速い。
ただ、棒を壁キックするアプローチは、幅跳びではなく一段ジャンプを使うのが一般的だ。
そのため、RTAレベルで考えると、0.5秒以上は速いのではないだろうか。(計測したことはないので推測だが)
また、このパートにおいては、『ドッスンを蹴れるかどうか』がタイム差になることは多くの方がご存じだろう。
セットアップなどを駆使してドッスンを確実に蹴れるのならそれに越したことはないのだが、現状はそういった方法は存在しないし、作るのは困難だと考えている。
その理由は『ドッスンの停止時間が乱数だから』である。
詳しくは別の記事で紹介するつもりだが、ドッスンは一番下にいる時と一番上にいる時の停止時間が乱数になっている。
そのため、100枚スター後のアプローチのちょっとした違いでドッスンの場所が変わってしまうのである。
『100枚スター取得時にドッスンの声を聞いて場所を判断する方法』があると聞いたことがあるが、仕様上、100%確実な方法ではないので注意してほしい。
【追記】ドッスンの声のタイミングを覚えれば、位置の判断はできるようなので、後日記事を書く予定である。
むすび
今回は3記事に渡って70枚idealrunのTTC100枚てっぺんを解説してみたが、いかがだっただろうか。
既に取り入れられているものからまだ取り入れられていないものまで色々あったと思う。「これ使えそうだな」と思ったものはぜひ取り入れてみてほしい。