【調査レポート】THI ノコノコレース
【2022年7月追記】再調査により本レポートの情報よりももっと詳しい情報が分かっているため、本レポートは参考程度に見てください。
レポート公開日: 2019年09月13日
考案者: circumark994, atmpas
協力者: ツララ, ミタギ, ガラパゴス
私たちは、ちびでかアイランドのノコノコレーススターでの最適なRTAルートを見つけ出すためにその仕組みを調査した。
本稿では、調査内容、及び結果をもとにしたベストなRTAルートを提案する。
RTAガイドページ: ノコノコリターンマッチ
まとめ動画(英語): https://www.youtube.com/watch?v=PAqXLWBU0Ho
日本語で簡単に解説している動画:
★用語集★
- THIレース: ちびでかアイランドのノコノコレーススターのこと。
- チョコボ: THIでか島の鉄球のこと。チョコボール。
- CBG: THIでか島の鉄球を生成する口のこと。チョコボールジェネレータ。
- IGT: ゲーム内タイマーのこと。
- CBGタイマー: CBG専用のタイマーのこと。IGTとは異なる。
- ゴールタイム: ノコノコレース(ミニゲーム)にて、マリオがゴールしたタイムのこと。
CBGがチョコボを生成する仕組み
ゲームの内部処理を調査したところ、CBGは以下の4つの条件を全て満たした時にチョコボを生成することが分かった。
1-1. マリオの半径800以内にCBGが入っていない(単位はユニット)
1-2. マリオのY座標がCBGのY座標より低い
2. CBGの”オブジェクトタイマー”が64で割り切れる数字である
3. マリオの半径12,000以内にCBGが入っている(単位はユニット)
4. random_float()を1.5倍したものが1未満である
より直観的にしたのが以下となる。厳密に言うと順番が違うが、人間がイメージするにはこちらのほうが分かりやすい。
(1) CBGタイマーで64フレーム(2.13秒)毎にチョコボを生成するかどうかの判定が走る。(64フレームの固定周期で動いていると思えばよい)
CBGタイマーが動き出すのは「THIのでか島に入ってから」。具体的には以下である。
- でか島スタートならステージがロードされた時に動き出す。
- ちび島スタートならでか島に土管からインした時に動き出す。(RTAルートならこちら)
(2) (1)の判定が走ったフレームで、以下の3つの条件を全て満たすとチョコボが生成される。
- マリオがCBGより低い位置にいる。
- CBGがマリオの半径800以内に入っていない且つ、12,000以内には入っている。
- 乱数値がある特定範囲内の値である。
ノコノコの振る舞い
ゲームの内部を調査した結果は以下となる。
(1) マリオがゴールするとノコノコの足が速くなる。
具体的にはノコノコのAgility値が8へ変わる。ボムへいのせんじょうのノコノコレースも同じである。
(2) マリオがゴールした後でも、ノコノコが減速する特殊条件が存在する。
基本的には(1)の仕様通りだが、ノコノコのステータスが[ゴール]になるまでにノコノコから1,500ユニットの範囲にマリオが入っていると、ノコノコが失速する特殊条件がある。
今回の話では超重要。
(3) ノコノコが走っていて前方400ユニット以内にチョコボが入った場合、チョコボの移動速度によりノコノコの振る舞いが異なる。
– チョコボの速度が比較的遅ければ、チョコボをジャンプで通り越す振る舞いをする。
– チョコボの速度が比較的速ければ、ノコノコの速度が毎フレーム2ずつ減算される。
(4) ノコノコが走っていて後方300ユニット以内にチョコボが入ったかつノコノコより速く移動している場合、ノコノコの速度は0になり、ジャンプをしてボールを通過させる。
(5) ノコノコのジャンプ中は、基本的にはノコノコの速度はジャンプ開始時の速度から変わらない。
例えば、ノコノコの速度70でジャンプを開始したら、ジャンプ中は速度70のままということである。
ただし、目の前に比較的速く移動しているチョコボが存在する場合は、(3)と同様の減速処理が適用される。
(6) ノコノコの加速度は今走っている地面の傾度に依存。下り坂ほど加速し、上り坂ほど減速する。
THIレースにおいて、地面の傾度が一番高いところ(下り坂のところ)は、コーナーを曲がった後~1崖目である。
(7) ノコノコの速度は乱数で変わるわけではない。
CBGのチョコボ生成を強制的に停止した状態で、スタートの乱数を変えて全く同じ動きをTASで再現したところ、全く同じ結果を得られた。
内部処理にも乱数を使っているところはなかったし、この実験からも乱数は関係ないことが分かる。
より早くノコノコにゴールしてもらうためには
話は大きく2つに分かれる。
1.ノコノコにより早くゴール地点に来てもらう方法は?
2.ノコノコゴール時、ノコノコがより手前で止まるには?
以上を示した上で、これらの情報から
3.[実践編] RTAで速いスタータイムを出すには
4.120idealrunのTHIレースってどうなの?
を書く。
1. ノコノコにより早くゴール地点に来てもらう方法は?
1-1. RTAルートでチョコボに妨害される可能性は?
CBGタイマーの詳細は以下で、このタイマーで64フレーム毎にチョコボ生成判定が走る。
- THIレースのRTAルートはちび島からスタートするため、土管をくぐってでか島に到着した後からCBGタイマーが動き出す。
- CBGタイマーはCBGの出現している時間を数えるタイマーで、でか島内であれば基本は常時動いている。
例外として、ノコノコとの会話中(会話開始時の振り向き~テキスト消失)は停止する仕様があるため、「IGTで〇秒にチョコボが生成される」といった完全な法則は存在しない。
しかし、RTAルートならおおよそ固定の動きでレースを開始できるので、チョコボが生成される目安IGTは存在する。
ノコノコがCBGを通過するタイムは、レースタイムでIGT9秒程度である。(最初にノコノコに話しかけた場所で方向転換量が変わるが、ノコノコの速度は固定なので、CBG到着まではほぼ一緒)
この時、普通のRTAルートであればチョコボが生成されるので、つまり、毎回チョコボに妨害される可能性を秘めている。
1-2. ノコノコに影響するチョコボは?
ノコノコはチョコボが近くにあることで特別な振る舞いをする。逆に言えば、距離の離れたどうでもいいチョコボは無視して良いと考えられる。
実際にチョコボの生成パターンで分けてデータを取得してみたところ、RTAルート(ゴールタイムIGT12~15秒あたり)では、以下の2つのチョコボ以外はノコノコに影響しないことが分かった。
※ [ゴールが10秒以下][RTAルート以外のルート]等だと話が違うので注意。
(1) ノコノコがCBGに通過する1つ前の周期で生成されるチョコボ。以下、チョコボ1と呼ぶ。
(2) ノコノコがCBGに通過する時に生成されるチョコボ。以下、チョコボ2と呼ぶ。
ゆえに、この2つが生成されたかどうかだけを考えればよく、組み合わせは以下4パターンとなる。
[パターン1] チョコボ1も2も生成されない場合。以下、NONEパターンと呼ぶ。
[パターン2] チョコボ1のみが生成される場合。以下、チョコボ1パターンと呼ぶ。
[パターン3] チョコボ2のみが生成される場合(120idealrunのパターン)。以下、チョコボ2パターンと呼ぶ。
[パターン4] チョコボ1も2も生成される場合。以下、チョコボ12パターンと呼ぶ。
1-3. 実際に4つのパターンでのタイムを見てみる
前提1: 様々な情報を表示した調査ROMを使用。
調査ROMには「特定のボタン入力でゴール地点へ瞬時に移動する機能」「チョコボ生成パターンを指定できる機能」が備わっている。
前提2: 以下のクイックセーブデータサンプルを用意。
サンプルA: ノコノコ話しかけ6.20x、Yaw Facing = 46030
サンプルB: ノコノコ話しかけ6.20x、Yaw Facing = 43631
サンプルC: ノコノコ話しかけ6.13x、Yaw Facing = 46349(右向き看板を向くぐらい)
サンプルD: ノコノコ話しかけ6.16x、Yaw Facing = 47506(右向き看板を向くぐらい)
サンプル120idealrun: ノコノコ話しかけ6.16x、Yaw Facing = 40929(若干右下向き)
これらのサンプルにてレースを始め、調査ROMの機能を使用しチョコボ生成パターンを設定した後、クイックセーブをする。(エミュレータ自体の機能なので乱数値等の状態も全て保存される)
前提3: ゴール後ノコノコに話しかけるまでのタイムはノコノコが停止する振る舞いの違いでぶれてしまう。
ノコノコの移動ルート上にはPTと呼ばれるチェックポイント(0~10)があり、10がゴールの手前になるので、ノコノコがPT10にたどり着いた時のタイムを見ることにした。
手順:
(1) クイックセーブデータをロード。
(2) 欲しいゴールタイムでゴール。ノコノコがPT10にたどり着いた時のIGTをメモ。
(3) 上記を繰り返す。
(4) (1)~(3)を4つのパターンで行なう。
手順に問題がないか?:
ノコノコの振る舞いでは、マリオを見て何かを決めている等はないため、これで問題ない。
しかし、ノコノコを話しかける時のノコノコの角度でノコノコの道筋がほんの少しずれる上、CBGタイマーが1違うだけでチョコボからの妨害の食らい方が大幅に変わるので、正確ではなく、あくまで傾向値だと思ってほしい。
実験後、実際にプレイしてみてたところ、グラフ通りの結果を得られた。
結果:
縦軸: ノコノコがPT10にたどり着いた時のIGT
横軸: マリオのゴールタイム
ごちゃごちゃしていて分かりにくいと思うので、[NONEパターン]を基準にして、各パターンを見ていくことにする。
NONEパターンを基準にする理由は以下。
- どのサンプルでも同じような結果になるから。
- 基本的にマリオのゴールタイムとノコノコのゴールタイムが比例するから。(右肩上がり)
1-4. チョコボ12(≒ ALWAYS)・チョコボ2パターンは基本ダメだけど、速くなる時間帯が存在する
緑太線がNONEパターンで、1枚目がチョコボ12パターン、2枚目がチョコボ2パターンとなっている。
- 両パターンのタイムは12秒後半から一致する。理由は、チョコボ12パターンにて12秒後半以降からノコノコが加速しても、チョコボ1がノコノコに影響する範囲内に入らないからだと考えられる。
- 両パターンは基本的にはタイムが遅いことが分かる。
- ただ、15.0付近になるとタイムが落ち着いて速くなるので、これらパターンで安定したタイムを狙うならばここを狙うべきか。
- 14.3~14.8ではチョコボの関係でゴールタイムが速くなりやすいので、運が良ければ速いノコノコになる。以下のTaggoの動画(47.30x, 6.13x話しかけ, 14.36goal)がおそらくどちらかのパターンを引いている。しかし、14.3だと遅くなるパターンもあるので、14.5~14.8を狙うのが無難だと思われる。
1-5. チョコボ1パターンは13.2より速いタイムを出せるなら有りか?
緑太線がNONEパターンで、これを基準に見る。
- チョコボ1パターンは13.2以下だとノコノコのゴールタイムが速いことが分かる。
- しかし、以降はNONEパターンよりも遅く、15.0付近で収束するようである。理由は、チョコボ1パターンにて14秒後半以降からノコノコが加速しても、チョコボ1がノコノコに影響する範囲内に入らないからだと考えられる。
つまり、13.2以下を出せるならこのパターンは有りだが、出せないなら15.0付近まで待ったほうが良い。
1-6. どの角度でノコノコに話しかけるのが最速か?
マリオがノコノコに話しかける時、ノコノコはマリオの方向を向く仕様になっている。そしてレーススタート後は一旦進行方向に方向を修正した上で走り始める。
本トピックには以下の問題点がある。
- ノコノコに話しかけるまでのタイムと話しかける角度の両方を考慮しなければならないこと
- 話しかける時の角度によってノコノコの軌道がほんの少し異なること
- ノコノコ話しかけのタイムとCBGタイマーは比例関係ではないこと(例. 6.13xで話しかけても、6.16xで話しかけてもCBGタイマー的には差がない場合がある)
ゆえに、本トピックは可能性が無数に近いぐらいあるので、あくまで傾向からの推測となる。NONEパターンならば大体合っていると思うが、チョコボが影響するパターンでは1フレーム単位の差で全く異なる結果が出る場合もあるので、このことを念頭に置いてから以下のグラフを見てほしい。
NONEパターン・話しかけ6.16xの時、ノコノコが看板を向いているか、それより手前側を向いているかを比較したグラフは以下となる。
青線: 看板を向いている(1枚目画像)
赤線: 看板より手前を向いている(2枚目画像)
看板を向いている(青線)のほうが速いタイムが出ていることが分かる。つまり、看板を目印にした場合、看板よりも上を向かせたほうが良いということになる。
1-7. 意図的にチョコボール生成を避けるには
ヒントは最初に挙げた『CBGがチョコボを生成する仕組み』にある。
CBGがマリオの半径800以内に入っていないかつ、12,000以内には入っている。
CBGから半径800以内に入るにはCBGの前を通ることが不可欠だが、普通に進むと7, 8秒前にここを通り過ぎてしまうため実用的ではない。また、ノコノコがCBGにたどり着くまでに12,000離れることは可能だが、ゴールから遠ざかってしまうため実用的ではないと考えられる。
範囲(赤い範囲内にいると出現する 画像はあくまでも目安):
乱数値がある特定範囲内の値である。
運ゲーなので回避不可能。
マリオがCBGより低い位置にいる。
赤コイン洞窟の入口より少し上にいるだけでこの条件を崩すことが可能。
つまりマリオがCBGより高い位置にいることで、意図的にチョコボ生成を避けることが可能となる。
2. ノコノコゴール時、ノコノコがより手前で止まるには?
2-1. ノコノコがゴールで停止する時の原理
調査ツールなどを駆使して分かった流れは以下となる。
(1) ゴール手前のある特定のポイントに入ると、ノコノコが減速アクション(DECELERATE)に入る。
(2) 減速アクション中にノコノコのアニメーションの進行状況を示すAnimFrame(FRM)の値が28になるとノコノコが停止する。
つまり、減速アクションに入った時(1)に、FRMの値が28に近い時ほどすぐにノコノコが止まり、逆に0に近い値の時ほど止まるまでに時間がかかる。
以下は奥で止まってしまった一例である。減速アクションに入った時、FRMが4だったため、そこから8, 9, 10…という感じで28まで停止できていない。
2-1,5. AnimFrameの詳細
先で話した通り、AnimFrame(FRM)の値は毎フレーム増加していくが、増加値は必ずしも一定ではなく、以下の3つのパラメータから算出される値となる。
パラメータ
① AnimAccel(ACCEL): アニメーションを次のフレームまでにどの位進行させるべきかを示した値。
② AnimFrameAccelAssist(ASSIST): アニメーションの進行状況を小数も用いてAnimFrame(FRM)より更に詳細に示した値。
③ ノコノコの速度(SPD) ※ 走行アクションの間のみ
FRMの計算方法
- [現フレームのFRM] = [現フレームのASSIST]の小数点以下を切り捨てたもの
- [現フレームのASSIST] = [1フレーム前のACCEL] + [1フレーム前のASSIST]
※ FRMの最大値は29。FRM >= 30となった場合、ASSISTの値は小数部分が維持されたまま、整数部分だけが0にリセットされる。(つまりFRMは0になる)
※ 値の形式の関係上ACCELの値がマイナスになった場合はこの限りではないが、複雑になるため割愛。
ACCELの計算方法
- ノコノコが走行アクションの時:
[現フレームのACCEL] = [1フレーム前のSPD] * 0.09 - ノコノコが減速アクションの時:
[現フレームのACCEL] = 0.99 (固定値)
※ 値の形式の関係上実際にはもう少し低い値となり、またSPDの値がマイナスの場合はこの限りではないが、複雑になるためこちらも割愛。
一例を示す。以下の画像は”16.10”のフレームで、ノコノコが走行中である。
- ACCELは4.86、ASSISTは20.07、FRMは20、SPDは53.45
- 以下の計算より、次フレームのACCELは4.8105、ASSISTは24.93、FRMは24
[次フレームのACCEL] = 53.45 * 0.09 = 4.8105
[次フレームのASSIST] = 4.86 + 20.07 = 24.93
[次フレームのFRM] = 24.93の小数点以下切り捨て = 24
次のフレーム(16.13)を確認すると、ACCELは4.81、ASSISTは24.93、FRMは24となっており、上記で計算した通りであることが分かる。
2-2. ノコノコの停止位置を調整することは可能か?
2-1,5で話したように、ノコノコの走行アクション中のAnimFrameの値の増加量は乱数ではなく、ノコノコの速度に応じて決まる。
ノコノコの速度は、『話しかける向き』『チョコボ生成の有無』『マリオのゴールタイム』『マリオとノコノコの位置関係』の要素が絡み合うため、人力で停止位置を調整することはほぼ不可能である。(TASなら可能)
なので、(乱数ではないが)実質乱数だと思ってくれれば良い。
ちなみに、PT=10に到達する時に、AnimFrameが0~9あたりになっていれば手前で止まることが分かっている。20台後半ならギリギリ合格ラインで、それ以外だと奥まで行ってしまう。
2-4で示すようなセットアップは、「この角度で話しかけて」「こういうルートを使って」「このタイム(フレーム単位)でゴールして」「ここで待つ」を固定した条件下では調整は可能だが、失敗すると逆にロスるので120枚RTAでは推奨しない。ワンスター用としては使い道があるかもしれない。
2-3. じゃあどこで待てばいいの?
ポイントは以下2つ。
- 調整が難しいため、ノコノコをぎりぎりまで速い状態にして頑張ってもらうのが良いと考えられる。よって、ノコノコの失速条件(ノコノコとマリオの距離が1,500ユニット以内)を満たさないようにするために、ぎりぎりまで離れたほうが良い。
- ノコノコが停止するまで1,500ユニット以内に入らないためには、「細い木の足場(5枚列あたり)」「2匹のクリボーがいる風が吹いている地帯」に退避しなければならないが、ここにいるとノコノコ話しかけまでにロスるため、実践的ではない。
ここから以下のような方法を提案する。次の2-4で示すやり方を試した上での提案である。動画で確認したい人は冒頭にリンクしたまとめ動画を見ること。
- ゴールをしたらステージの角(柵のない面)に崖掴まり。崖掴まりからの落下が怖いなら、隅で待つようにする。
※ 崖掴まりしないで待つ場合は、1,500ユニット以内に入るタイミングが1フレーム早くなる。 - マリオ遠目で待機。
- 崖掴まりの場合はノコノコが橋の最後に来たところで移動開始。崖掴まりじゃない場合は、ノコノコが土管を通り過ぎる手前で移動開始。
2-4. その他の待ち方の模索
以下のことは既に試したがいまいちだったので却下した。
■ 土管セットアップ
ゴール後、土管の面を壁押しして待つという方法。シビアな条件をクリアすれば、ノコノコが手前で止まるパターンもあるが、失敗すると大ロス(1秒程)するので非推奨。
特に、土管で待つと崖で待つより早く1,500ユニット以内に入ってしまうため、手前で止まらなかった場合目も当てられないタイムになってしまう。
■ 旗を使ったセットアップ
ゴール後、旗に掴まりてっぺんに登って待つという方法。しかし、旗で待つと崖で待つより早く1,500ユニット以内に入ってしまうためダメだった。
また、先の土管セットアップと同じ理由で却下。
■ 柵の隅でセットアップ
風の吹く橋の近くにある柵の隅で待つ方法。1,500ユニットの条件の問題でノコノコが早く減速し始めるので、手前で止まらなかった場合目も当てられないタイムになるので却下。
■ コの字になっているところで崖掴まりセットアップ
ゴール後、細い木の足場とクリボーのいる風の吹く足場の間にあるコの字のところで崖掴まりして待つという方法。1,500ユニットの条件の問題もあるし、ノコノコに話しかけるまでにロスるので却下。
■ 3Dゼルダ式セットアップ
ゴール後、土管の壁に張り付き「土管をジャンプキック+バク宙」もしくは「バク宙2回」をする方法。1,500ユニットに入るのは遅くなるが、ノコノコが良い位置で停止しやすくなるわけでもないので微妙。
あと、セットアップに時間がかかると、セットアップ完了前にノコノコが来ちゃうかもしれない。
3. [実践編] RTAで速いスタータイムを出すには
3-1. 調査で分かったことをまとめると以下
■ 土管 ~ ノコノコ話しかけ(Xcam)までは[最速を目指す]且つ[ちょうど看板、看板より上を目標に話しかけ]
(1) 土管から6.1~6.30(Xcam)で話しかけるのが目標。三段ジャンプダイブ復帰+幅跳びで簡単に出る。
[理由] チョコボの生成タイミング次第では、あえてここで遅延させたほうが良い場合もあるが、1フレーム単位で結果が大幅に変わることがある上、どのパターンになるかは運ゲーなので調整のしようがない。ゆえに、とりあえず最速を目指したほうがいい。
(2) ノコノコがちょうど看板のほうを向くか、それよりも上側(でか島スタート地点のほう)を向くようにする。(1-7より)
■ ゴールタイムは以下を狙うべき
前提: 土管から6.1~6.30でノコノコ話しかけ
- CBGの乱数に賭けるならゴールタイム13.2以下を目指すか、14.5~14.8を目指すべき。
- CBGの乱数問わずに超安定したタイムを出したいならレースタイム14.8~14.9を狙うべき。
- 上記は [13.2以下 ⇒ チョコボ1パターン]、[14.3~14.8 ⇒ チョコボ12(≒ ALWAYS)・チョコボ2パターン]のデータから。
前提: ノコノコ話しかけタイム関係なし
- ゴールタイムに応じて速いタイムを出したいなら意図的にチョコボを生成させないルート(後述)で14.8以下を狙うべき。
- 上記は[NONEパターン]のデータから。15.00あたりになるとノコノコのゴールタイムが収束するので効果がない。
■ ゴールしたらステージの角(柵のない面)で崖掴まり
- ぎりぎりまでノコノコが速い状態を保つ & 話しかけでロスらないようにするため、ステージの角(柵のない面)で崖掴まりするのが実際のRTAではベストであると考えている。詳細は2章を読むこと。
- 崖掴まりで落下が怖いなら、崖掴まりせずにぎりぎり隅で待つのが良い。(ノコノコの速度が落ち始めるのが1フレームだけ早くなるが)
- ノコノコの停止位置は乱数ではないが、『話しかける向き』『チョコボ生成の有無』『マリオとノコノコの位置関係』の要素が全て一致しないと同じ位置に停止しないため、実質乱数のようなものとなっている。
3-2. [ワンステ向け] 壁抜けルート
THIてっぺん箱のワンスタールートのように、はなちゃんの入口に向かって移動して、壁抜けしてそのままゴールに向かうというルート。
- 意図的にNONEパターンにできる。(レーススタート後、始めの緑の丘に登ったところでマリオがCBGより高い位置にいる状態になり、その状態が最後のアプローチまで続くため)
- 絶対にNONEパターンになるため、マリオが早くゴールするほどノコノコも早くゴールする。
- 頑張れば13秒台で大きなミスがなければ14.5は出せる。
- 練習すれば普通に簡単にできるが、1ミスしたら遅くなる可能性が高いので、120枚RTAではリスクが高いかも。そういう意味でワンステ向け。
3-3. [ワンステ向け] 甲羅で超がんばって12秒台を出すルート
普段の甲羅ルートで超がんばるルート。
- 土管から6.1~6.30でノコノコ話しかけ前提。
- 甲羅で超がんばると9.5秒あたりで最後のストレート茶色坂までこれる。ここでY座標を稼いでチョコボ2の生成を避けると、[NONEパターン]か[チョコボ1パターン]を引くことができる。
- ゴールは13.2以下を出すこと。チョコボ1パターンを引いた場合、13.3以降だとノコノコのゴールが遅くなるため。
- いいことずくめのルートだが、120idealrunレベルの動きを要求されるため非常に難易度が高く、甲羅の達人じゃないと無理だと思う。
3-4. [120枚RTA向け][ワンステ向け] 甲羅14.5~15.0でゴールルート
普段の甲羅ルートでゴールタイムを意図的に調整するルート。この方法が一番良いと考えている。
- 土管から6.1~6.30でノコノコ話しかけ前提。
- ゴール手前で動きを調整して14.5~14.9を出せば、安定して速いタイムを出すことができる。15.0以降はタイムロスになりやすいため、遅くても15.0は出すこと。
- 13.3~13.9付近を出すのはダメ! このタイム帯だと大体の場合でノコノコのゴールが遅くなる。
- 実際にやってみたが、この方法が簡単且つ安定したためオススメである。
4. 120idealrunのTHIレースってどうなの?
120idealrunというのは「人間が理想のRTAルートを使ったら120枚RTAでいくつのタイムが出るのか」を示したもので、筆者らが作成したものである。
以下が動画で、実機で再生しているTASだと思ってくれれば良い。『一部将来的に使われる可能性のあるルートを使用していること』『実機での処理落ちを考慮した動きをしていること』が特徴である。
120idealrunにおけるTHIレースのタイムは以下となっている。
- 全体のIGT: 45.96カメラ×
- ゴールタイム: 12.26
- ノコノコ話しかけ: 6.16x
- 最後ノコノコ話しかけ: 33.06x
これをSTROOPを用いて見た動画とゴール後にノコノコを眺めた動画が以下である。
動画1: https://www.youtube.com/watch?v=Yf_uAteWfjE
動画2: https://www.youtube.com/watch?v=i6d5EuT4tjA
これまでの調査内容をもとにこの走りを考察してみる。
- ノコノコに話しかける位置が右下すぎたので、もう少し看板寄りで話しかけるべきだった。
- ゴールタイム12.26 ⇒ 最後のノコノコ話しかけ33.06xから予想すると以下のグラフの赤点となり、チョコボ1パターンを引いていることが分かる。13.2以下でゴールしているため、超速くなっている。
- ゴール後風の橋のほうへ行って1,500ユニット以内に入ってノコノコを失速させることで停止位置が良くなり、タイムが速くなっていることが分かった。
- ゴール後クイックセーブを取って停止位置を調整してみたが、崖掴まり等では手前で停止してくれずタイムも遅かった。
- ノコノコがチョコボを飛び越えるタイミングは1崖目を降りた直後ぐらいだった。([ノコノコ][1崖目][ボール]の順番になっていた)
冒頭で話した通り、1崖目手前が一番ノコノコの速度が速くなる場所である。ここで速度が70付近まで溜まった上でジャンプが発動したために速いタイムが出たと考えられる。