【マリオ64 RTA】THI てっぺんスターにおける壁抜けのライン取りを考察してみた
70枚idealrunのちびでかアイランドのデカじまのてっぺんで(THIてっぺんスター)は、120枚idealrunと比べて、
- 土管より前のパートで1フレーム
- 土管より後のパートで1フレーム
の計2フレーム更新している。
今回は、大苦戦した土管より後のパートで、どのようにして1フレーム更新したのかを語る。
具体的に更新した区間はどこか?
『土管をくぐった後~壁抜け』の区間となる。
1. 土管から出た後、一段ジャンプキック→二段ジャンプダイブ
2. 左に向けて反転→二段ジャンプキック
3. ダイブ→復帰で壁すり抜け
このうち、2.3.ではライン取りのパターン(この後のセクションで紹介)をいくつか考えられるのだが、私自身どのパターンが最速なのかいまいちよく分かっていなかった。
実際に調べてみたところ、1フレーム更新するに至ったわけだ。
最速のライン取りのパターン
先の2.3.のパートで、考えられる最速のライン取りは以下3パターンある。
A. 反転で直線となる角度を作り、二段目の足場に着いたら歩きフレーム無しでダイブを出す。
B. 最速で二段目の足場に乗り、二段目の足場に着いたら角度を作ってダイブを出す。
C. パターンBで、二段目の足場に着いたら即ダイブを出す。
パターンCは、壁抜けの位置が悪くなるため、壁を抜けた後上の足場に着地することができない現象に陥る。
強引なスティック入力で壁抜けの位置をずらせばこの現象を回避できるが、壁到着の時点でタイムロスになるので、このパターンは除外して良いだろう。
つまり、最速になりうるライン取りはパターンAかパターンBなわけだ。
私は70枚idealrunを作る前、人間のベスト記録などを確認した上でパターンAが速いと考えていた。
しかし、実際作ってみたところ、パターンBのほうが速いという結果となったのだ。
どうしてパターンBが速くなったのか……、次のセクションで説明しよう。
まずはライン取りのタイム数式を考える
パターンAとパターンBには以下の違いがある。
(1) 二段目の足場に乗るまでのタイム(下の画像の赤線)
(2) 二段目の足場に乗ってから壁抜けまでのタイム(下の画像のオレンジ線)
(1枚目がパターンA、2枚目がパターンB)
(1)のタイムは、最速で二段目の足場に乗っているパターンBのほうが速いと予想できるだろう。
続いて(2)のタイムだが、二段目の足場に乗る際、パターンAのほうがより奥の位置に着地しているのが上記図から分かると思う。
それゆえ、パターンAのほうが速いと予想できる。
つまり、
(1)はパターンBのほうが速い
(2)はパターンAのほうが速い
ということになるので、(1)と(2)でのタイム短縮量を比較することで、どちらが速いのかを結論付けることができるわけだ。
もしパターンBのほうが速かった場合は以下の数式が成り立つことになるだろう。
(1)におけるパターンBのタイム短縮量 > (2)におけるパターンAのタイム短縮量
以降で、(1)(2)のタイム短縮量を確認する。
(1)におけるパターンBのタイム短縮量
パターンAを採用している120枚idealrunを確認したところ、(1)に1.26秒かかっていることが分かった。
11.43 – 10.16 = 1.26秒
続いて、作成したパターンBは1.16秒だった。
11.33 – 10.16 = 1.16秒
つまり、(1)におけるパターンBのタイム短縮量は3フレーム(0.10秒)ということになる。
(2)におけるパターンAのタイム短縮量
パターンAを採用している120枚idealrunを確認したところ、(2)に0.73秒かかっていることが分かった。
12.16 – 11.43 = 0.73秒
続いて、作成したパターンBは0.80秒だった。
12.13 – 11.33 = 0.80秒
つまり、(2)におけるパターンAのタイム短縮量は2フレーム(0.06秒)ということになる。
(1)(2)を合算すると
以上から、
(1) パターンBのタイム短縮量は3フレーム
(2) パターンAのタイム短縮量は2フレーム
ということになるので、
(1)におけるパターンBのタイム短縮量 > (2)におけるパターンAのタイム短縮量
が成立することになる――言い換えるとパターンBのほうが1フレーム(0.03秒)だけ速いということになる。
以上の考えを元にタスを作成したところ、後半パートで1フレーム更新するに至ったのである。
むすび
今回の考察は120枚idealrun(パターンA)が最速タイムを出している前提となっている。
最速タイムではなかった場合、「パターンBのほうが速い」とは言えないので、気を付けてほしい。
今回のような、1つ前の動作を含めてタイムを見ないといけない場所はマリオ64RTAに数多く存在する。
答えだけ知りたい場合は厄介なのだが、『考察』という観点からすると厄介な分だけ面白さも増すので、考え物である。