【マリオ64 RTA】70枚RTAでWDW100枚シクレスターを取るべきか
本記事では、2019年2月に行なった『70枚RTAでみずびたシティー100枚スター+シークレットスター(以下WDW100シクレ)を取るべきか』の考察を紹介する。
既存ルート(50枚ミップ有、HMC後)が前提となっている。
人によって結論が変わる結果だったので、WDW100シクレを使うかどうかは本記事を読んだ上で各自で判断してほしい。
まずはWDW100シクレを外した場合の代替スターを選ぶ
WDW100シクレを外した場合、代替の候補となるスターは以下4枚ある。
この4枚はステージの出入りなども考慮したタイムが速い4枚であり、これ以外のスターは極端に遅くなるので除外している。
WDW100シクレと比較したいので、まずはこの4枚のうち2枚を選択することから始めた。
- 候補1. CCM ペンギンレース 47.26秒 *100枚スター+レーススターをやるという意味
- 候補2. HMC けむりめいろを抜けて 47.23秒
- 候補3. THI 赤コインスター 44.81秒
- 候補4. SL 赤コインスター 45.76秒
補足1: 各スターの右に書いてあるタイムはそのスターのコスト(リアルタイムで処理落ち込)となっている。
補足2: 『DDD 宝箱スター』や『50枚ミップ』も遅い部類に入る(どちらもコスト45秒ぐらい)が、これらは上記候補と比較して理想に近いタイムで回収できるスターとなっているため、回収必須としている。
候補1. CCM ペンギンレース 47.26秒
現行の70枚RTAでは、2015年頃にミタギ氏が提案した『スーパースノースライダー+100枚コイン』が主流となっている。
しかし、『ペンギンチャンピオンレース+100枚コイン』には1秒程度速いルート(atmpas specialルート)があるので、それを踏まえて再検討する必要がある。
atmpas specialルートを前提にしたメリット・デメリットは以下である。
- メリット: 難易度はさほど高くなく、ミスさえしなければ理想値(75.70xIGT)+1秒程度で通すことが可能だと思われる。
- デメリット: コスト47秒は遅い。100枚ぴったりルートなのでリスクがある。
候補2. HMC けむりめいろを抜けて 47.23秒
昔は70枚RTAで使われることがあったものの、現在は使われていないスターである。
処理落ちを完全無視した場合は速いタイム(30秒程度)で回収できるので、エミュレータやWii VCであれば有力候補となっている。(70枚TASでは使われている)
ただ、今回は実機前提で話しているので、処理落ちも考慮しなければならない。
このスターにおけるメリット・デメリットは以下である。
- メリット: ドアtoドアなので、IGTレベルなら理想に近いタイムが出しやすいと思う。
- デメリット: コスト47秒は遅い。すり抜けをミスした時のロスが大きすぎる。
候補3. THI 赤コインスター 44.81秒
昔から速いと言われていたが、洞窟で落下する危険性があるがゆえに外されていたスターだ。
70枚TASでは、ちび島からスタートするルートを使用しているので、より低いコストでこのスターを回収している。
人間でRTAでできるレベルのアプローチでは、ちび島スタートだと遅くなるため。70枚TASでやっているすり抜けを使ってようやく速くなる程度となっている。
このスターにおけるメリット・デメリットは以下である。
- メリット: 候補の中では一番コストが低い。最初のクリボーは乱数だが、乱数を無視できるアプローチが存在するので安心。
- デメリット: 洞窟で落下する可能性がゼロではない。ミスなく行けたとしてもタイムがぶれやすい。
候補4. SL 赤コインスター 45.76秒
昔は70枚RTAで使われることのあったスターだ。
2015年頃に私が提案した大ジャンプルートにより、以前よりも速いタイムが出せるようになった。
このスターにおけるメリット・デメリットは以下である。
- メリット: 甲羅操作を覚えれば、人間ベスト記録+1秒程度で通せると思われる。よほどのことがない限り、死ぬリスクはない。
- デメリット: 人間最速タイムでも45秒以上のコストがかかる。
選択したスターは?
選択したのは以下の2枚だ。
- 候補3. THI 赤コインスター 44.81秒
- 候補4. SL 赤コインスター 45.76秒
理由は、どの候補にもメリット・デメリットがあり、コスト(秒数)ぐらいでしか客観的に判断できる要素がなかったからである。
理論上でのタイム比較
WDW100シクレは、理論上はIGTで68秒ほどのタイムが出る。
これに処理落ちとセーブ画面を含めた場合、以下のコストになると予想される。
コスト: 68.00 + 1.00(処理落ち) + 15.00(セーブ画面) = 84.00秒
次に、『THI 赤コインスター』と『SL 赤コインスター』のコストを合算する。
コスト: 44.81 + 45.76 = 90.57秒
以上より、理論上ではWDW100シクレのほうが6.6秒程度速いことが分かるだろう。
ただし、今回の話の中で重要なのは『RTAの通しの中で出るタイム』だと思っている。
これは『理論的な動きなら60秒なので速いです!→通しで使うと毎回70秒かかっています』というような、理論と実際が大幅に異なる可能性も考慮しなければならない、という意味だ。
なぜこれが重要なのかというと、特にWDW100シクレは上位プレイヤーであってもかなりタイムがブレるスターだからである。
次のセクションにて、この点を考慮して再計算してみよう。
RTAの通しを考慮したタイム比較
『THI 赤コインスター』+『SL 赤コインスター』のコストをRTAの通しレベルでの動きを考慮して再計算しなおす。
- THI赤: 44.81というコストはIGTで26.76xが出ている前提。実際の通しではIGT28.5秒前後あたりが妥当だと思われるので、44.81 + ( 28.50 – 26.76 ) = 46.55 ≒ 46.6秒
- SL赤: 45.76というコストは、IGTで30.83xが出ている前提。実際の通しでは、1秒ほど遅れた32秒弱ぐらいになると思われるので、45.76 + 1.00 = 46.76 ≒ 46.8秒
- 実際の想定コスト: 46.6 + 46.8 = 93.4秒
この結果から、『THI 赤コインスター』+『SL 赤コインスター』はどれぐらいのタイムの『WDW100シクレ』に匹敵するのかを計算した。
コスト: 93.4 – 15.0(セーブ画面) = 78.4秒
つまり、『THI 赤コインスター』+『SL 赤コインスター』はWDW100シクレにおける78.4x(リアルタイム)に匹敵するわけだ。
このタイムを念頭に、上位プレイヤーの70枚RTAにおけるWDW100シクレをいくつか精査してみた。
- Taggo氏の47分57秒: 84.21x
- Taggo氏の47分52秒: 78.74x
- Taggo氏の47分46秒: 77.47x
- Taggo氏の47分35秒: 78.54x
- 適当な配信で確認したTaggoの走り: 79.71x
- Cheese氏の47分56秒: 79.63x
- Cheese氏の47分34秒: 75.47x
- 人間ベスト記録(Kyman氏): 71.93x
精査をして分かったことは以下4つある。
- 上位プレイヤーでも、通し中はWDW100シクレにて1ミス以上している。それぐらい通しにくいスターであるということ。
- Taggo氏のこのスターのベストはIGT72.66xであるが、実際の通しでは77-79秒あたりで落ち着いているということ。
- Cheese氏のほうが安定して速いタイムを出せているようだったが、速くても75秒だったということ。
- 人間ベスト記録は71.93x(IGTでは71.20x)だが、通し中ではこんなに速いタイムは出ないということ。
上記考察からの結論
前提: THI赤 28.5秒IGT + SL赤 32秒IGT ≒ WDW100シクレ 78.4x(リアルタイム)
- WDW100シクレは人間ベスト記録レベルのタイムが出せないと大幅なタイム短縮は望めない。(Taggo氏でもぎりぎりタイム短縮できているかどうか、というレベルだった)
- 『THI赤で28.5秒IGT』『SL赤で32秒IGT』を一発で出せるのなら、WDW100シクレを外しても良いかもしれない。(WDWの乱数が嫌いならなおさら)
- ただ、最速はやはり『WDW100シクレ』を使うことで、このスターが完璧にできることに越したことはない。
上記結論はあくまで私なりの結論であり、また数値計算のみで叩き出した結論なので、参考程度に見た上で各自で調べてみてほしい。
むすび
今回の考察で分かったと思うが、理論上のタイムと実際のRTA時のタイムは大きくかけ離れている場合があり、動きのレベルで結論が変わることもある。
上位プレイヤーの使うルートが煮詰まっている現在ならなおさらである。
確実なのは自分の動きで調べることなので、このスターに限らず、自分で色々試して比較してみると良いと思う。